一生一品 岸哲蔵

■一生一品とは…

この町工場の親父さんとは、実は一人ではありません。
実家の稼業で醤油と味噌の蔵元をしておりましたが、そこで働く叔父さん達や、板前時代、包丁研ぎから教えて下さった親方。

長い事働き身体と男義張った港湾労働の現場の社長や専務や先輩方。そして、建築現場の棟梁や職人さんとの一服しながらの語らい等から得たものを、歌にしたのが、この一生一品であります。

トタン屋根の町工場は、実家の醤油の工場街や、港湾時代毎日のようにいた港湾区域の古ぶれた倉庫や工場(日の出、本牧…)をイメージして描きました。

■一生一品の本来の意味

一生一品は、京都の和菓子の世界での言葉です。菓子職人は「自分が真に納得のいく出来ばえの菓子を一生のうちでわずか一品しか作ることができない」という、そんな菓子の難しさと奥深さをも表したのが、この言葉です。

また「一生一品」には、「職人は一生をかけて後世に残る一品を作るために精進しなくてはならない」という戒めの意味も込められてます。「一生かけて、ひとつの品を完成させよう」…まさに、僕ら歌い手創り手も、同じ思いです。

■一生一品…まとめ

何でもパソコンで処理してくれて、何でも機械が作ってくれて、コスト削減ばかり考え、人頼みは生みを産みを忘れ、海を渡る??

「MADE in JAPAN」はもう死語なのでありましょうか。経済方針の前に、消えていくのでしょうか? いや、そんな事はない! この汗した思いを、苦悩した時を、研いた腕を、私達は「形」にしてきたのです。一生一品…己自身に刻み、そして「未来へ」
 

■「一生一品」岸哲蔵~伊豆大島チャリティー・ライブ~映像 下北沢Lown(ラウン)

■「一生一品」   作詞/作曲 岸哲蔵 編曲/池田健司

トタン屋根の町工場  路地裏咲くタンポポのようじゃ
黒ずんだ手 金具を削る 寸分の狂いなく

油まみれ親父さん  手ぬぐいタオル首に巻き
銭ばかりの 嫌な時代だと ワカバ深く吸いこんだ

一生ひとつ 一生ひとつ 一生ひとつ
欲ばらず 頭にのらず とんがらず 一生一品

とりあえずは 好きじゃねぇ
竹のように 真っ直ぐな 親父さん

腕ひとつで 前だけみつめ
一筋一途に生きてきた

一生ひとつ 一生ひとつ 一生ひとつ
欲ばらず 頭にのらず とんがらず
溢れだす 情熱を 注ぎ込み 一生一品

油まみれ 親父さん…油まみれ親父さん…

(2010年 アルバム「BROTHER」収録曲)
YOUSEN(有線放送)にて、「一生一品」リクエスト受け付けております。