実験君がゆく…(1)

俺には、2つ上の兄がいる。
彼はだいぶ変わった人物だ。

5つの頃、「雷」を初めて見た兄は、
疑問をもち、母に聞く。

母も、いい加減な事を教えられないと思い、
「科学図鑑」を買い与える….と、
兄は図鑑の世界にのめり込む。

絵が好きだった兄は、1枚の絵を描いた。
その絵は….蒸気機関車のエンジン内部(事細かに)
図鑑を丸暗記し、定規を使わず真っ直ぐな線を描き、
立体に仕上げたそうだ。
(母方の祖父は、駅の区間長さん。)

また、その時期、おふくろが足し算を教え、呑み込みが早いので、
無理を承知、70+36=みたいな、どでかい足し算問題を出したら….
隣の部屋に隠れ、マッチ棒を使い、一人で解いたそうだ。  

小学校入学すると、次々科学の本を読破し、
知識の範疇で実験を始め出す。

やはり一番興味があったのが「電気」で、
雷がなれば恐がらず、時計の前に立ち、
光ってから音のなる瞬間までのタイムを計り、
距離感を嬉しそうに解いていた。

かと思うと、雷の中、外へ出ていく。
そう、雷の方角へ。
母は、追い掛ける。何故?

科学雑誌にエジソンの雷実験が載っていたからだ!
エジソンは若い頃、雷の中、わざとタコをあげ、感電、失神した経験があった。

エジソン

母は、ちょっとこの兄の才能に喜びながらも、内心困っていた。
ひとつの物事を追い掛けると、とめどなく、
時間も周りも全く見えなくなるのだ。

だから兄貴は、時として、母にひっぱたかれていたな。  
それでも、実験心に歯止めがきかない….

それは、自然だけが対象ではなく、「動物」に対してもだ。 
ある日、みんなで河川敷で遊んでいると、
首輪が外れて駆け回る秋田犬が吠えまくって向かってきた。

俺達ガキんちょは、小便ちびる思いで全力で逃げたが、
なんと兄貴は、一人その場に残ろ。
そして、笑顔でその犬をなだめ、お座りをさせ、お手までさせていた。

まるで、むつごろうさんのように。
後は、優しいトーンで話かけ、首周りをさすり、
いつしかその犬は寝そべっちゃって、、、。

小便ちびる寸前の俺は、オヤジに知らせ、
オヤジも気合い入れて棒持ってきた時には、そんな状態….

そのうち、飼い主が必死こいて探しに駆けこんできたが….
なんか、持ってる奴だ。
まさに、「実験君だ!!」

そして、小4くらいになると、
実家の醤油工場に隣接された醸造用の研究室(薬品の棚が二重にも三重にも)
が、兄の遊び場となる。

今だに、交流のある、小学校時代の先生がいるのだが、
俺と会うたび同じ話をする。

….理科の授業中、兄貴の質問が怖かったと….

質問の内容が、高校物理レベルで、立場上応えなきゃいけなくて….
かわすので、やっとだったとか….

そして、1度だけ、試しに小5時代の兄貴に
授業の真似事やらせたら、大学の講義みたいになっちゃって、
みんなちんぷんかんぷん….だったそうだ。

彼の物理、科学、そして、生物に対する興味は凄まじく、
事実、小学校高学年で高校物理・科学・生物の教科書を読破、
夏休みになると、お盆で遊びにくる東大の理系に従兄弟がいたのですが、
彼と話込むと、時間を忘れて話し合い….
隣にいる俺は、ちんぷんかんぷん(笑)

また、雑誌「ムー」を愛読し、

ムー

便所入りながら銅線巻いて、
ラーメン食ってるそばから、麺の伸び具合とスープの油と水の割合を計算し出し、
よく母ちゃんに「早く食べなさい!」って怒鳴られてた。

風呂に入ったら入ったで、風呂オケを利用し、
「波の波動」の実験を始めちゃって、俺は結局おネムになり風呂入れずじまい…

夜中は星の位置をノートに丹念にとってたかと思うと、
ガキのくせ、太宰治や漱石、読みふける。

とまぁ、こんな調子で理科実験は毎年必ず、書道と絵画は何度か、
工作、感想文、小さい親切作文まで、市の特選とってたよ。
で、運動オンチのくせ、スキー板のワックスを独自に研究し、
クロスカントリー(距離スキー)のチャンピオンとって。 

勉強も優秀でも、威張るとか、生意気とか、1ミクロもない奴…
というか、相当な不思議ちゃんで….

普通….給食が終わると、校庭行って、サッカーやったり、ケイドロやったり、
手バット野球やるのが常だが、彼はそれらには参加しない。

なんと、給食室へ向かう。

給食室の入口には各クラスの食器が乱雑に置かれているが、
それを誰に頼まれたわけでもないのに、ひとつひとつ綺麗に整頓。
全クラスのをまとめるわけ。

それが終わると…消えるそうだ!
だから、給食のオバチャン達の伝説に残っていたそうだ。

学校の授業も終わると、みんな一気に帰るか、校庭だが、
彼はまた変なのだ。
教室全部を先生のように見回り、カーテンをきちんと閉め、
机のラインをキチッとしてから下校。

そんで帰り道、パチンコ屋の前を通ると、これまた乱雑する
チャリを並べる。
そして、奴はカバンからおもむろに紐を出す。
その紐先には、磁石がついている。

この磁石は、電気屋さんが実験好きな兄の為、
巨大ブラウン管で使用している物をくれたのだ。

バカな弟の方の俺はテレビ画面にくっ付けだした。と、地力が強く、
テレビ画面がぼやけ紫色に変色し、立体に見えて楽しい。
調子にのってやりすぎたら、キッチンにあるテレビを
お釈迦にしてしまった。
勿論、母ちゃんは、有無を言わず、往復ビンタ!!

…話は飛んだが、兄貴はこの磁石を利用し、
パチンコ屋の手前にある、網のかかった用水にそれを垂らし、
一人気ままに、パチンコ玉釣り….

大人達は、それをどういう目で見ていたのか?
ある時期は、農業と大工作業に興味をもち、
工場にあったセメントと砂を混ぜ、造っておいた畳半畳ほどの
枠に流し込む。
そして、固まると土を入れ肥料を入れ水をある程度まき、
ならし出す。

それから数週間後….
なぁーんと、が育っていた。
その秋、家は兄貴産の米を食らう。

が….こんな兄の姿は、ある一部。
彼には、本気で恐ろしい一面が眠っていたのだ!
マジで、恐ろしい一面がぁ!

次回から話す内容は、ある「夏休み」の話だ。
                   
                   続く…


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