王シフト

物凄い選手には、やはりマークがきつくなる。
特に、プロ野球の強打者となると、相手チームも色々な策を練る。

一番多いのは、敬遠。
シュチュエーションでありがちなのは接戦の時。
ノーアウトもしくはワンナウトでランナーが二塁か三塁など
点の入りやすい場面で、強打者を迎えるケースだ。

打たれて点が入る可能性より、強打者を歩かせ塁に置き、
次の打者を打ち取った方が、無難と考え実行するのだ。

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■敬遠に対して…長嶋茂雄は…

スーパースター長嶋茂雄(元巨人)は、勿論強打者で敬遠も人一倍多かったが、
天才はやはり、他の強打者と思考がまず、違った。
相手投手が、敬遠の為、外角に外した緩い球に対し、
長嶋は、一気に踏み込み逆転ヒットをはなったのだ。
長嶋
さすが、ミスタープロや野球。 あっぱれ!!

■松井秀喜…伝説

日米の野球界でサクセスを掴んだ、松井秀喜(元ヤンキース)も敬遠が多い。
有名なのは、高校時代「甲子園」…なんと、全打席敬遠がある。
塁はがら空きなのに、相手チームは松井を完全敬遠し、
試合を僅差でものにしたのだ。
松井は、悔しさを顔に一切出さず、18歳にして、
冷静に対応したのだ。

■王シフト

そして、敬遠を超えた、プロ野球初の強打者対策をとられたのは、
世界のホームラン王 王貞治(元巨人)

時は、1964年5月5日のこどもの日。
この試合の2日前、4打席連続ホームラン(当時の日本記録)を記録し、
ノリにのる王に対し、
広島カープは、ある作戦を決行する!!

左バッターの王に対し、サードはショートの位置に、ショートはセカンド、
セカンドはファーストとセカンドの間、ファーストは一塁ライン際….
外野もレフトがセンター、センターはセンターとライトの間、
ライトはよりライン際….

これは、王の打球が殆どライト(右)方向だったからである。
これは、当時のカープの強力企業マツダの電子機で調べあげた、
データ野球の走りでもある。

これに対し王は….一瞬考えたが…
「何をやってるんだ。でも、オレの強い打球なら、1m野手の横へいけば抜ける!」
と、強い気持ちをもち挑む!!

息をのむ….スタジアム。
王シフトのもと、ピッチャー投げました…
「カーン….」
王の振りぬいた打球は、野手の頭上をはるかに越え、スタンドへ!!
王さん
白石監督の考えた「王シフト」
…敗れたり….

が….
白石監督の狙いは、ひとつではなかったのだ!!
右(ライト)方面に打球の集中する王に対し、打ち取る為だけに、
王シフトをしいたのではなく、
もしも、王がシフトに対し、毎回がら空きのレフト(左)へ
流し打ちを試みるようになれば、王の独特の一本足打法のバランスが
崩れるのでは???

が、これは失敗したのだが、王が、カープとの試合では、この後、
細かく、考えるようになっていったのだ。

結果、この1964年、全盛期の王は、打率320 ホームランは55本(当時日本記録)
であったが、カープに対しては、打率291 ホームラン7本なのだ。

作戦は失敗したとはいえ、好調の王に5月前半の地点で、「あれ??」
を植え付け、カープ戦に対しては、他球団相手のような猛打はなりをひそめた。

「王シフト」….白石マジック…あっぱれである。

■哲蔵のまとめ

ルールはもしかして、意外に広いのかもしれないが、
そこを、プライドやカッコつけや、当たり前の壁の前、
閉じていないか?

もし、アイデアが浮かんだら、やはり…試さねば!!
今日の失敗より、未知の成功の為、勇気もった一手が必要だ。

それにしても、作戦を考えさせた、これらの兵(つわもの)達は、
本当に素晴らしい。
よくよく考えてみれば、全員、国民栄誉賞….である。