残り香と夕焼け

■「残り香と夕焼け」

束ねていた厚手のカーテン、
「そろそろ使う頃かな?」と解いてみると、
申し訳なさそうに、奴がしがみついていた。
あの頃は、警戒すべき憎き相手だったのに、
不思議なもので愛しさすら感じる。

窓の外から劇的なる茜が差し込みだす。
遠くに聳える山々もまた、
其々の深みを彩り。

温もるエコパックから肉まんを出し頬張る。
ついこの間までは、アイスクリームありきの
別腹だったけど…。

2階からシチューの香りがする。
お風呂の温度は43度に上げようか。
いや、まだ42度のままでいいだろうか。

カラーケースにしまっていた
ヒートテックを引っ張り出す。
次の休みの日は新しいヒートテックを買わなきゃ。

実家での雪囲いの作業もせねば。
思い描く北の町。
木枯らしが記憶の襟元すり抜ける。
同時に、懐かしのメロディが演出する。
安全地帯でも聴こうか。
久しぶりに、ラジカセへCDを入れた。