…東日本大震災から、3年8ヶ月…
「復興」は、果たせたのでしょうか。
疑問を持つ自分は、石巻での日々を、自問のもと
当分、書き綴りたいと、思います。
■2011年6月3日(金)22時 世田谷区松蔭神社
兄貴が中心になり集めた「震災のボランティアチーム」25人は、
3台のワゴン車と、3tのトラック(物資、炊き出しセット等)
に分乗し、宮城県石巻市へと向かう。
震災から約80日。やっとだ。
が、燃えたぎる思いとは別空間のように、金曜日の東京の街は
震災を忘れたかのように、賑わい、輝いていた。
…異変を感じたのは、東北道にのり2時間ほど経った頃…
場所は、栃木県宇都宮市を越えて、
那須高原を左手に走っている時だった。
「徐行」の表示から、数秒後….「ズドン」….物凄い震動である。
そう、この辺りは、部分陥没をおこしていた。
この先の下り(宮城方面)車線では、ところどころ
こういった溝が出来ていた。
ただ、窓から見渡す風景は、普段と変わらない町並みに、
僕は感じた。
とはいえ、普段の高速道路と違い、速度規制と、
ところどころ補修工事による車線規制で、
気がつけば、日付けはとっくに跨ぎ、6月4日午前4時。
6時間を費やし、やっと宮城県内に入る。
景色が一変したのは、仙台!
仙台南部有料道路「仙台若林ジャンクション」
この場所は、海岸から2キロ離れているというのに、
津波の爪跡がまだ残り、田んぼや畑のあちこちに瓦礫が散乱。
眠気が一気に覚める。
自分の信念に針を刺すように、モードが変わる。
それは、自分だけではなく、同乗者全員。
午前5時、片道7時間、石巻市中心地に到着し、
石巻の兄の知人から説明を受ける。
ここは3日間水浸しになり、
コンビニ・ファミレス等、殆どの商店は店を閉めている。
(水没する、石巻市内)
が、現在は、多少泥の匂いがする程度まで回復したそうだ。
そして、
自分達の今回の「任務」が告げられる。
JR石巻線・渡波駅前での「炊き出し(豚汁)」と、
仮設住宅地域での、持参した、
衣服・下着・医療品・生活必需品等の配布。
残念ながら、今回は、ヘドロかきは無いとの事。
「炊き出しは、火が命!」
移動前に、駐車場でガスボンベ3本使用し、
持参した100リットルの水を沸かす。
昆布でだしをとり、下ごしらえを終えた、肉、野菜を煮る。
大型寸胴5つ。 ある程度まで作り、新聞紙でカバー、車で運ぶ。
渡波駅前は、ここから3キロ。 午前7時、出発!
女川街道、方角・南西。 石巻大橋、旧北上川を渡る。
中洲(中瀬)には、同地出身の漫画家・石ノ森章太郎記念館がある。
そこから数百メートル平穏な町並みが続くが、突如として
風景が一変する。
津波にも道があるようで、無事だった家の隣から
いきなり被害地域になったり、
津波には生き物のような怖さを感じた。
周囲の信号機は壊れ、お巡りさんが手信号。
辺りでは、重機を使い、車を牽引していた。
海から直線で2キロの位置….
人は….歩いていない。炊き出しをして、集まるのか、心配。
僕らが、炊き出しの下ごしらえをしている間、別働隊は
炊き出しのチラシをポスティングしてくれたのだが….。
駅前に到着し、再び寸胴に火を点け、
料理研究家のお姉さんが味噌で味をつける。
「美味しい、豚汁だ!」
と…気がつけば、人人人!!
午前9時、炊き出し開始。
その列は、一気に500メートル。
誰も割り込まず、家族で鍋を持ち、1時間以上待っても
文句ひとつ言わず。
鍋に豚汁を注ぐ僕の視界には、「希望の虹」のように見えた。
炊き出しの隣では、衣類等の物資コーナーをつくる。
皆さんは、互いに譲り合い、配布されてる衣服や生活必需品をわけあう。
石巻の皆さんは「ありがとう」とこっちが恐縮するほど下げてくださり、
小さい女の子に「美味しい、毎日来てねぇ」と、
パイナップルのような笑顔を見せてくれた時は、
嬉しくて心に一滴の水が、流れた。
まぁ、中には家から大きな手鍋2つも持参し、
ここに入れてぇー、なんて、強気なばぁさんもいて、、、びびったがぁ….
寸胴5つ、約500食は、1時間…
生活必需品3t分は、30分もたなかった。
…途中、震度3程度の下から突き上げる地震がおきる。
一瞬、あたりは氷つくが、火も消し、無事で何よりである。
と、帰り支度を始めた僕らに、隣でカレーを炊き出しなさっていたインド人の皆さんが、
「皆さん遠くから疲れているでしょう。これ食べて下さい」と、
カレーをおすそわけ….。
本格的なナンで、美味しく頂きました。ありがとう!!ご馳走様でした。
人間が本当に困った時、「国」も「人種」も「組織」も「宗教」も
一切関係ないのだと、この時、実感しました。
また、来るから、石巻!
僕らは道具をトラックに積み込み、地元の方の先導で、
石巻市の市内へ向かう。
….と、
目の前に信じられない現実が
(車が逆さまになってます)
という事は、沿岸部、いったいどうなっているのだろうか?
声に、ならない。
先ほどの心の充実など、僕の自己満足にすぎない!
今度来る時、何が必要で、何をすればいいのか、心に問わねばいけない。
情報得る為にも、 「観て、聞いて、感じて」
話し合いのもと、もう1度、自問せねばならない。
~次回へと続く~