17歳の夏… ~古いアルバム~

■岸哲蔵「17歳の夏」

皆さん、「河辺」ご存知ですか? 「かべ」と読みます。
場所は東京都青梅市。

東京駅からの経路は、中央線乗り立川駅で青梅線に乗り換え、
1時間15分(中央線でごく稀に「河辺行き」あり)
河辺せいゆ~
(現在の河辺….駅前に限っては、立川みたいになっちゃって…)

初めて河辺に降り立ったのは、17の夏。そう、まだ、米沢在住の高校生。

….夏休み前…
友達が「東京で道路工事あるけど、てっちゃんも一緒にいかない?」
も~即決で「行く!!」

何故?僕が道路工事行きを決めたのか…。
実は、うちの高校が頑張り、「甲子園初出場」を決定。
全校生徒タダで、甲子園に応援に行く事になってました。

それはそれで物凄い事だし、応援がてらみんなで旅行に行く楽しみもあった。
でも、この球児達に負けたくないなという思いと、
イチ応援の人になってたまるか!!という思いがあった。

自分は将来「東京」に生きて行くと決めていたので、
その前段階としても、行きたいという意思が、そうさせました。
(全校生徒1000人のうち、インターハイ選手以外で不参加は、僕ら2人だけ…)

心残り…ひとつ。
当時、付き合いだして数週間の彼女と離れる事…。
でも、やはり僕には東京行きの気持ちの方が、正直強かった!

体力には自信があったので、道路工事は辛いとか、
日給がいくらとか、何も深く考えず、身体1個向かいました。

….寝泊りは、誘ってくれた友達の兄のアパート。
そこには、その兄の友人も同居。
そこに、友達と友達と同棲していた彼女も泊まる事になり、
てんやわんやの「17歳の夏」を過ごす事に!

….まさに「青春」だったなぁ。

■岸哲蔵「17歳の夏」~秋川にて道路工事~

時は19991年。前年にバブル崩壊したとはいえ、
世の中には今の50倍くらい活気が。
朝、秋川(現在、あきるの市)の事務所につくと
シャコタンと、ヤンチャなバイクが、行儀悪く集結。

作業員は、もともと土木業の方々と、地元の威勢のいいヤンキーと、
イラン人の3種類のみ!
自分も米沢ではヤンキー!かなり、
ピリピリムードでの現場スタートとなりました(笑)

現場は「東京サマーランド」の前を流れる川の、向こう側。
真夏の炎天下の中行われる道路工事は、気合い入れるのを忘れたら、
ぶっ倒れるくらいヤバイところ!

だから、気合い入れる為にも、社長が、
怒鳴り散らす怒鳴り散らす。

「作業内容」は、アスファルトを重機ではつり、
ガラはユンボと手で軽トラに移し撤去。
地面を、ダダダダだァーって機械でならします。
(この震動が、半端ない。ヒジが、痺れる…)

で、砂やジャリをまき、何か?を塗り、
高温のアスファルトを敷き、スコップとトンボでならす。
が、ここ急ぎ! 「鉄は熱いうちに」
じゃないと、平行にならない。
だから、トロイと社長に 、スコップ投げつけられる…わけ…

一度、社長が俺を、どこかの外国人と間違え、
わけのわからない単語で指事…
意味解んないから、シカトこいたら…
「手前ぇー!!」 …飛んできたよ、スコップがぁ!!

でも、飲んだらいいオヤジでねぇ(すみません、当時は未成年でも飲酒OK?)
「おい、高校出たら、うち、来い!」って…
ショッポ美味そうに燻らせ、スゲェ、無防備な笑顔で…ねぇ。。。

…話戻すと、このアスファルトが大変。
真夏の陽射しと、照り返し、
何よりアスファルトの熱で、異常に蒸すんだ。

東京来る為、わざわざ買った「おにゅーのバッシュ」の底が、
初日で…溶けたのだよ….(泣)

で、最後にローラーで平にし、水をかけ冷やすんだけど、
ホースから放つ水で虹が出来た時には、感動したなぁ~….。

…正直、現場は川(秋川)挟んで、東京サマーランド。
黄色い声やら楽しい風味が、川風にのって聞こえてくるけど、
全然羨ましくなかったよ!

「俺は違う!稼いでんだぁー」って、誇りがあった。

仕事が終わり、友達兄のアパートに戻ると、
毎日友達の彼女の手料理とビール。
T美ちゃんの料理、本当に美味しかったなぁ!
元気かなぁ~。ヤンキーだったけど、マジ、イイ子だった。

で、夜更け間際、テレカ握りほろ酔いで電話BOX… 毎晩、田舎の彼女に電話…

そう….
電話と言えば、現場監督が、当時珍しい携帯電話もってて…

携帯っていってもラジオサイズでショルダーバッグみたいに肩にかけたヤツ
カッコよかったなぁー。

大昔の携帯

(こういうのが、あの時代の携帯電話!)

もー、ほしくてぇ、ほしくてぇ。いつか、俺も金持ちになって、携帯電話もつんだって…
今…お金もちじゃないけど…余裕でもってるけど…ねぇ。。。

そして、夏休みは終わり、
現場離れる最終日の夜、はしごはしご…はしご。

…何軒まわったかな?…カラオケ何曲歌ったかな?
皆んな、ヤンチャで熱くて、いい奴だったよ。

イラン人も、カタコトだったけど、汗と汗で解りあえたし。
まぁ、飲まされて飲まされて、生まれたての小鹿…になっちゃったけど…

…17歳の夏…
初めて、初めて、自分の足で歩いた時。
ヤンチャで喧嘩ばかりして、親にも学校にも迷惑ばかりかけていたけど…。

夢なんてなかったよ。
目指すものも、何もなかった。
…でもねぇ、何かいつも、いつも、輝きを見つめていた!

…そう、付き合い出したばかりの彼女に、
東京から帰る時、上野で指輪を買ったんだ…。
でも、ひと夏、電話のやりとりだけじゃ、
刺激を常に求めていたあの子には、シラケテたようで…
即、フラレタ….よ。

俺なりの青春だった… 17の夏。
永遠に届かぬ日々…。

夏の終わりの午後の休日….古いアルバムを開くように、
思いかえして…います。
有難う、河辺。有難う、現場。有難う、ヤンチャなあいつら!