10年前位でしょうか…
実家に帰った際、くたびれた本棚の手前にあった、
表紙のない一冊の古き文庫本を、何故か気になり….
手にとってました。
その本は、ここ数年…いや、
10年単位で開かれる事がなかったと感じるくらい、、
雪のように、綿埃が積もってました。
俺は人差し指で、雪を片付ける除雪車のように取り除き、
一呼吸おいて、恐る恐るその本を開いた。
堅物で小難しそうな本を手にしてしまった….
多少の後悔の念と、怖いもの見たさとの中間色で、
数ページをめくりめくった。
が、、、
この本のストーリー性よりも…
ある箇所に….目が….
それは、本の余白に書き綴っている文面でした。
そう、中学時代の兄貴の、鉛筆文字….
時に、感想を綴り….
時に、意見を唱え….
時に、わけの解らない化学式?を羅列し….
….おそらく、この人は、本を読みながら、
心の中に居る別の自分と、会話?交信?しているのかもしれない….
まぁ、こんな感じで….本のストーリー性は気にせず、
「余白談」だけを楽しみに、
ページからページを、
まるで、「初雪」に歓び駆ける「柴犬」のように….
走り回っていました。
そして、ある文面との出会いが….
それは、兄が中1の夏休み明けの「始業式」での、
校長先生のお話を、綴ったもの。
….小口校長先生の話….
「皆さん、星を見ていますか?キレイですよね。
心が引きこまれますね。
私も、同じです。
ただ、星をよくよく考えると、ハッとさせられます。
それは…
あの星は、幾万年も昔に燃え尽きた時の「光」
なんですよね。
でも、光は、私たちの心を和ませたり、
暗闇を照らしてくれたりしますね。
そうです。
夜は、過去の光によって灯り、
私たちの暮らしを支えている。
そして、私はこう思う。
星とは、ご先祖様のようなものだと!!
あなたの住んでいる家は、誰が建てましたか?
あなたが住んでいる土地は、どの代から続いてますか?
あなたの身体を培っているものは、
誰から受け継いだものですか?
思考、生活環境、仕事しかり….
世間では、夜は闇だと思われている。
でも、現実は、見上げて確かめれば、
この星という、過去の光に照らされ守られているんだよ!
だから、私たちもまた、未来の夜の為、
灯りを灯さなければいけないのです。
未来の夜の、あなたの子孫の為に、
未来の夜の、迷っている人の為、
未来の夜の、この国の為、
未来の夜の、この地球(ほし)の為に…」
…この文面を読んだ日、「光」という曲を
書きました。
そして、光は文面を変え、形を多少変え、
歌詞の色を変え、今も歌っているんです…
…もう、夜だね。
今夜は、キレイな星が見えるかな?
窓を開けて、おもいっきり「光」という名の
星灯りを….感じてはいかがでしょうか。
そして、感じよう、あの日の光を。
見つめよう、脈々と続く「この血」を
見渡そう、もし哀しみに打ちひしがれた人がいたら….
その手を握りしめて…